防犯のすゝめ

インバウンド訪日客による偽造クレジットカード犯罪の問題点

インバウンドで訪日する外国人が急増する昨今、短期ビザ免除を悪用した犯罪が発覚しました。外国人による偽造クレジットカード犯罪が発生した背景、国内でのICカード対応の環境整備の問題についてお話します。

訪日客による偽造クレジットカード被害が発生

2017年9月、日本への短期滞在を装って、偽造クレジットカードを持ち込んだのはマレーシアから入国した中国系の組織が逮捕されました。日本ではカード犯罪対策が遅れていることから、ブランド品をだましとるために偽造クレジットカードを利用しようとしたためです。摘発されたマレーシア人らは、インターネット上での求人情報に応じて入国。「中国からの入国では必ずビザが必要なのに対して、マレーシア人は短期滞在でビザが不要となるケースがあることを悪用された」と、大阪府警は見ています。

逮捕されたマレーシア人らは、無料での日本観光や高収入につられて求人に応募。対話アプリにて、日本入国後に磁気式クレジットカードを使用して、百貨店や免税店で高級品を爆買いするように指示されていました。購入価格の1割前後の報酬が示されることから、数百万円分ものブランド品を爆買いして出国を狙ったケースもあるといいます。

日本におけるICカード対応の環境整備の問題点

海外では日常生活における買い物ですら、クレジットカードを使用することが当たり前になっています。これに対して、日本はまだまだクレジットカード後進国。利用者は増えても、店側の対応は遅れているようです。現状では、今回の偽造クレジットカードに使用された磁気式クレジットカードから、ICチップ式カードへの切り替えがなかなか進んでいません。

磁気式クレジットカードは偽造されやすいとわかっています。しかし、ICチップ式カードへの移行が進んでいない理由は、IC式対応の読み取り端末の費用負担を店側が敬遠するためです。そこで、2016年末には改正割賦販売法が成立したものの、日本クレジット協会がIC式カード対応について2020年までの全店舗導入を目指しても見通しは芳しくありません。店側が対応しなくても罰則される規定がなく、普及のめどが立たないのです。

大阪府警で摘発されたマレーシア人らから押収したスマートフォンには、日本のICチップ式クレジットカードへの移行遅れを利用して儲ける旨のメッセージが残されていたと言います。第三者の個人情報が登録されたカードに、使用した人物の氏名を刻む偽造方法がなされていました。今後、日本国内で日本人の個人情報が盗まれて偽造クレジットカードに利用される恐れも懸念されます。カード犯罪の手口は巧妙になる一方ですから、ICチップ式クレジットカードへの移行は急がれるべきでしょう。

インバウンド訪日客の増加は喜ばしいことです。しかし、海外の犯罪組織は日本のクレジットカード事情に目を付けて悪事を働こうとしています。端末を早急にICカード対応させたり本人確認に注力したりと、店舗側に課せられた課題は山積みです。クレジットカード犯罪を防止すべく、できることから始めましょう。

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