防犯のすゝめ

学校での盗撮被害が増加!防犯カメラの設置は有用なのか?

近年は学校内での盗撮事件が相次いで発生しています。子どもが盗撮被害に遭う前に、どのように対策を講じるべきなのでしょうか?今回は、学校での盗撮被害が増加していることに加え、こども家庭庁が防犯カメラ設置を推奨していること、逆に防犯カメラの設置におけるリスク・デメリットについても解説します。防犯カメラの設置を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。


学校内での盗撮被害が増加している

近年、学校内での盗撮事件が増えています。設備会社で働く男性が学校の女子トイレに侵入し、小型カメラを設置して盗撮した疑いで逮捕された事件もありました。学校関係者が小型カメラを発見し、警察に通報したことで事件が発覚し逮捕につながっています。

警察庁長官官房が公表している「令和6年の犯罪情勢」によると、性的姿態撮影等処罰法違反の認知件数の推移は、2023年で2,538件だったのが2024年には8,436件に急増していることがわかっています。これはすべての盗撮被害が含まれているため、学校での盗撮被害を示すものではないものの、盗撮被害の認知件数が大幅に増加していることが分かります。また、少年の刑法犯検挙人員に関しても、性的姿態撮影等処罰法違反に該当する人は638人で、前年より474.8%も増加していました。


こども家庭庁は防犯カメラの設置を推奨

盗撮被害の増加を受け、9月12日にこども性暴力防止法についての検討会が開かれました。2026年12月に施行される「こども性暴力防止法」では、性犯罪歴のある人を子どもと接する仕事には就けないようにする、日本版DBSなどが盛り込まれる予定です。また、この検討会の中で、こども家庭庁は防犯カメラの活用が性暴力抑止につながるほか、事実確認に有効だとして設置の検討を推奨していました。

・学校内に防犯カメラが設置されている割合

文部科学省の「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査【概要】(令和5年度実績)」によると、学校の敷地内や校舎内への不審者侵入防止のための対策として「防犯カメラ」を設置している学校は、64.6%に上っていることがわかっています。令和3年度に実施した調査では64.3%で、微増ではあるものの防犯カメラの設置率が増えています。

防犯カメラを設置する学校が増えている背景として、性犯罪の抑止だけでなく、盗難やいじめなど学校内トラブルも増加しており、その抑止につながること、保護者からの安全対策の強化を要望する声が多いこと、万が一トラブルが発生した際にカメラの映像から状況を確認し、早期対応につながることなどが挙げられます。客観的な証拠として映像が使えるため、冤罪を防ぐという役割もあります。


学校に防犯カメラを設置する懸念点も

防犯カメラを設置する学校は増えており、犯罪やトラブルの抑止につながる効果が期待できます。しかし、懸念される事項があることも知っておく必要があります。ここでは、学校に防犯カメラを設置する際の懸念点も解説しましょう。

・プライバシーの保護が難しい

第一に、防犯カメラを設置することで学生のプライバシーを保護するのが難しくなる点が挙げられます。特に防犯カメラで撮影されたデータが悪用されることを懸念し、女子生徒の保護者から反対されることも少なくありません。また、常にカメラで監視されている状況から、ストレスを感じてしまう生徒が出てくる可能性もあります。防犯カメラを設置する際には、生徒と保護者に対して丁寧に説明し、納得してもらってから設置する必要があります。このとき、どこに何台設置するのかまで計画を詳しく説明しましょう。

・自治体からの了承を得る必要がある

私立学校であれば生徒と保護者から理解を得て、費用面の問題をクリアできれば防犯カメラを学校側で設置することが可能です。しかし、公立学校に関しては予算の決定権を自治体側が持っており、自治体からの了承も得なくてはなりません。自治体に説明する際には学校内のどこにどういった目的で設置するのか、予算はどれくらいか、どの機種を選ぶかなどを精査しておく必要があります。

・徹底したデータ管理も必要

防犯カメラで撮影されたデータは、SDカードやHDD、クラウドサービスなどに保存されますが、学生のプライバシー情報が多く映り込んでいることもあり、厳重にデータを管理する必要があります。例えば保存期間や消去する方法、公開する範囲などは事前にルールで設定しておくことが大切です。また、防犯カメラの設定などを内部または外部から操作されないように、運用責任者を決めておくようにしましょう。

学校内での盗撮事件が増加しており、子どもの安全を守るためには防犯カメラの設置が有効です。防犯カメラを設置することで性犯罪の抑止だけでなく、いじめなど学生同士のトラブルや教師の問題行動などにおける証拠としても活用できます。ただし、学生のプライバシー保護の観点から、設置に反対する生徒・保護者も少なくありません。防犯カメラを設置する前にきちんと理解を得られるよう、丁寧に説明をしていくことが大切です。

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