代引き詐欺が増加中!手口や対処法とは?
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近年は特殊詐欺の被害件数が非常に増えており、全国的に問題視されています。そんな中で自治体では少しでも特殊詐欺の被害を減らそうと様々な対策を講じています。特に大阪府では、全国で初めて高齢者が携帯電話を使い通話しながらATMを操作することを禁止する条例を施行しました。今回は、大阪府が実施した特殊詐欺に対する条例やイベントの内容、さらに大阪府の特殊詐欺被害の実態について紹介します。
大阪府は高齢者が通話しながらATMを操作することを禁止する条例を2025年8月1日より施行しています。この条例の施行に合わせて、同日に大阪府の吉村洋文知事らがJR大阪駅前で啓発イベントを実施しました。イベントでは大阪府警の岩下剛本部長やサッカー・セレッソ大阪の森島寛晃会長なども出席していました。
平均年齢70歳以上で活動するご当地アイドルグループ「オバチャーン」による寸劇で改正された条例をわかりやすく説明し、さらに被害防止の協力者に対してはセレッソ大阪のホームゲーム観戦ペアチケットを50組100人分贈呈することが発表されています。このイベントを通して吉村知事は特殊詐欺について「被害者が精神的にも財産的にも辛い状態になる悪質な犯罪」と語り、条例の改正によって少しでも被害を減らしたいとしています。
「大阪府安全なまちづくり条例」は、8月1日に改正が行われ、さらに10月1日にも改正が実施されます。今回の条例改正ではどのような規定が盛り込まれたのか、解説していきます。
・高齢者が通話しながらATMを操作することの禁止
上記でも紹介したように、高齢者(65歳以上)が携帯電話を使って通話をしながらATMを操作することは禁止となります。金融機関などの事業者は、高齢者がATMで通話をしながら操作している人を見かけたら、防止のための措置を講じる義務が発生します。高齢者本人が禁止されていることを把握することも大切ですが、ATMを設置している事業者も対策を講じる必要があります。
・詐欺被害の恐れがある場合の金融機関による通報等
金融機関は利用者から話を聞いた際に、特殊詐欺被害などの被害の恐れがあると認めた場合、警察に通報するなどの義務が発生します。例えば、利用者から「リフォーム資金として現金200万円が今すぐ必要」「息子から電話ですぐに300万円振り込んでほしいと言われた」などです。
・プリペイド型電子マネー販売時の確認義務
コンビニなどプリペイド型電子マネーを販売する事業者は、5万円以上の電子マネーを販売する際に、必ず特殊詐欺などの被害の恐れがないか確認する義務が発生します。この確認に対して、購入者側も確認に応じることが義務付けられています。誰かから購入するように指示されていた場合、特殊詐欺に遭っている可能性が高いためです。
・ATMでのキャッシュカードによる振込上限額の設定
ATMからキャッシュカードを使って振り込みをする場合、上限額が1日あたり10万円以下に制限されます。この振込上限額はすべての人が対象になっているわけではなく、以下の項目にいずれも該当する場合に対象となります。
・70歳以上
・3年間ATMを使った振り込みをしていない
・大阪府内に居住している
なお、利用者から解除の申出があった場合、金融機関は特殊詐欺などの被害に遭う恐れはないと認める場合に限り、上限額の設定を解除することも可能です。この施策は10月1日から施行されますが、半年間の経過措置があります。
実際に大阪府内ではどれくらいの特殊詐欺事件が発生しているのでしょうか?大阪府警察が発表した特殊詐欺認知件数と被害金額(令和6年中・確定値)を見ると、特殊詐欺は全体で2,644件となっており、令和5年中の2,656件と比べると12件減っていることがわかりました。しかし、オレオレ詐欺では前年が117件だったのに対して令和6年中は393件と276件も増えていることがわかっています。
さらに、オレオレ詐欺以上に増減率が高かったのが、融資保証金詐欺とその他の特殊詐欺です。その他の特殊詐欺はオレオレ詐欺や預貯金詐欺、還付金詐欺などを除いたものが該当します。例えば、SNSやインターネット広告などを活用した副業詐欺などがその他の特殊詐欺に含まれます。
令和7年7月末の速報値では、特殊詐欺の認知件数が毎月200件以上発生しており、7月末時点で大阪府内だけで1,911件も発生しています。このペースで行けば、12月末には3,000件前後になる可能性が高いです。こうしたデータからも大阪府内では特殊詐欺の発生件数が多くなっていることがわかります。
大阪府では特殊詐欺が横行している現状を少しでも改善するために、大阪府安全なまちづくり条例の改正を施行しました。8月1日からスタートした改正のため具体的な成果が表れるのはこれからとなりますが、この条例をきっかけに特殊詐欺対策を強化する自治体が全国的に増えていくのではないかと考えられるでしょう。