防犯のすゝめ

宅配弁当業者と連携した詐欺防止の啓蒙活動

特殊詐欺の被害は、相変わらず減る傾向にありません。そんな中、金融機関やコンビニなどの身近なところで特殊詐欺を防ぐ協力活動がおこなわれるようになってきています。そんな活動に、宅配弁当業者も参加し始めています。

高齢者宅向けの弁当配達サービス会社が詐欺防止の啓蒙活動を展開

群馬県前橋市では、警察署による詐欺防止の啓発活動が高低者向けの弁当宅配サービス業者と連携しておこなわれています。これは、弁当を届ける際、特殊詐欺への注意をうながすチラシを配ると同時に声かけもしてもらうという活動です。

前橋市では、特殊詐欺の被害が年間で40件と前年の2倍もの数に増えました。被害額も約8,000万円と倍増したことから、被害者の大半である高齢者への防犯対策を強化したのです。全国的にも見られている現象ですが、特殊詐欺の犯行手口が次から次へと変化しているのも被害が大きく増えた原因だといいます。

高齢者のライフスタイルは人によってさまざまです。市内の宅配弁当業者の中には多くの高齢者との接点を持つところもあるため、毎日数百世帯の高齢者宅に弁当を配達している業者に防犯対策の協力を依頼しています。

特殊詐欺の被害に遭うのは高齢者が多い

特殊詐欺の被害に遭っている割合が圧倒的に多いのは、65歳以上の高齢者です。特殊詐欺の高齢者被害が占める件数は、全体の約72%に至っています。オレオレ詐欺では約96%、還付金詐欺では約94%ですから、9割以上が高齢者の被害につながっているのが事実です。

身内に高齢者がいる場合を含め、架空請求詐欺や融資保証金詐欺では若い人でも被害に遭わないように注意する必要があります。架空請求詐欺の認知件数が急増しているものの、未だに高齢者が被害に遭っている特殊詐欺は続いているのです。

ちょっとおせっかいなくらいが詐欺撲滅につながり得る

前橋市で警察から協力を依頼された宅配弁当業者の社長は、高齢者宅への弁当配達時の詐欺防止チラシ配布に関して「ちょっとおせっかい」を目指すと語っています。これは、高齢者がいる地域の人全体が心がけてよいことでしょう。コンビニの店員が機転を利かせて特殊詐欺の被害を防ぐなど、周囲の人が注意してあげることで高齢者を詐欺被害から守るケースが増えつつあります。詐欺撲滅は、単純なコミュニケーションから実現し得ることかもしれません。

紹介した弁当宅配業者では、最新の詐欺手口なども知らせていきたいと抱負を語っています。日々の会話から詐欺への意識を高め、不審な電話を受けたら毎日顔を合わせる宅配業者に相談できる環境が作られることも警察は期待しているようです。

弁当宅配業者以外でも、外出をあまりしない高齢者が日常的に顔を合わせる人が増え、特殊詐欺などの防犯に協力することができたら、特殊詐欺の被害件数は減少していくことでしょう。

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