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近年、アパートやマンションなどの集合住宅では、隣の部屋に居住している人がどんな人かも知らないということが珍しくないといいます。そんな環境の中、隣人によるトラブルや犯罪が発生したり、隣近所への無関心さがあったりと、犯罪を未然に防ぎにくい状況です。そこで、防犯優良賃貸集合住宅が登場しました。ここでは、防犯優良賃貸集合住宅の目的や認定条件、賃貸物件における防犯対策などについてお話しましょう。
防犯優良賃貸集合住宅は、公益財団法人全国防犯協会連合会と一般財団法人ベターリビングによって設定された、防犯基準に適合した賃貸集合住宅のことです。賃貸集合住宅を防犯性の高い物件として登録する制度で、ロゴマークによってわかりやすく表示することもできます。
・認定団体
防犯優良賃貸集合住宅を認定・登録しているのは、公益財団法人全国防犯協会連合会と一般財団法人ベターリビングです。
・対象となる建物
概ね、4階建てまでの新築賃貸集合住宅。
・防犯優良賃貸集合住宅制度の目的
建設コストなどの制約問題から、十分な防犯対策をとれない集合賃貸住宅は少なくありません。そこで、集合賃貸住宅の防犯性を高めるために、防犯に関する基準を設定して適合した物件を普及させます。防犯基準をクリアした物件の増加により、集合賃貸住宅全体の防犯性能を向上させ、安全・安心に暮らせることを目指して誕生しました。
・防犯優良賃貸集合住宅の認定条件
防犯優良賃貸集合住宅として認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。例えば、玄関ドア錠前に防犯建物部品(CP部品)か、5分以上の抵抗時間を要する指定建物錠が使われていることです。自転車をチェーンなどで固定できる、サイクルラックやバーラックも防犯基準に影響します。また、ゴミストッカーは施錠可能で非開放型であること、洗濯物は室内で干せるように、浴室乾燥機や物干しユニットも必要です。
集合賃貸住宅での防犯対策は、個人レベルでもできることがあります。例えば、町内会への参加やオーナー・管理人・隣人などと日頃から交流しておくこと、身をひそめる死角をなくすこと、防犯カメラの設置なども防犯対策の一案です。衣類の物干しや女性が居住していることがわかりやすいようにすることも避けたほうがよいでしょう。部屋の照明を帰宅前から点灯するようにしたり、自転車をチェーンで固定したりしておくのも、個人で対策できることです。
賃貸物件の安全性は、管理人やオーナーに一任されがちです。しかし、制約上、防犯対策を簡単に行えない場合もあります。個人で行う防犯対策にも積極的に取り組むことが、犯罪に巻き込まれないための有効な対策といえるでしょう。
防犯優良賃貸集合住宅は、これから増加していく見込みです。しかし、まだまだ一般に普及しにくく、十分な防犯対策に至らない場合もあります。個人レベルでの防犯対策も抜かりなく行うように、心がけるようにしてください。