飲食店がターゲット!「ドタキャン詐欺」の手口とは?
詐欺手口が巧妙化していく中で、近年は飲食店をターゲットにした「ドタキャン詐欺」が横行しています。こういった詐欺に騙されないためには、どのような手口で騙してくるのかを知っておくことも大切です。そこで今回 …
近年、偽基地局詐欺による被害が増えています。詐欺と聞くと親族や警察官、弁護士などを装ったオレオレ詐欺や架空料金請求詐欺、還付金詐欺などを思い浮かべる方もいるはずです。しかし、詐欺と言っても様々な種類があり、日に日にその種類も増加しているのです。今回は、偽基地局による詐欺の手口を解説すると共に、起こり得るリスクや被害に遭わないための対策方法を紹介していきます。
正規の通信基地局を模倣した不正な装置が偽基地局です。正規の通信基地局としては、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクや楽天モバイルなどが挙げられ、安定した通信サービスの提供を行っています。しかし、偽基地局はこれらの事業者とは異なり、不正な目的で設置をして強い電波を発信する違法な無線装置です。「IMSI Catcher」とも呼ばれています。偽基地局は、一時的に設置される他、機器を積み込んだ車で移動をしながら運用されているため発見が難しいと言われています。
正規の通信基地局よりも強い電波を発している点が大きな特徴です。スマートフォンは、最も強い電波に接続する仕組みがあるため、近くに偽基地局があれば知らないうちに接続されている可能性があります。多くのケースでは、偽基地局に接続されるとSIMカードの識別番号が取得され、SMSが送られてきます。偽の決済サイトやログイン画面が用意された不正なサイトのURLが記載されているため、アクセスさせて個人情報を窃取する手口が最も一般的です。
被害に遭うと、どういったリスクが起こり得るのでしょうか。具体的な問題点を解説していきます。
・怪しいSMSの受信
前述したように、最も一般的な詐欺の手口がSMSの受信です。受信したSMSにはURLアドレスが記載されており、IDやパスワード、クレジットカード情報といった個人情報を抜き取る危険性があります。現時点では、多くの場合で中国国内のキャリア名が表示されているので、中国人を狙った犯行とも受け取れます。しかし、今後は日本語や多言語に対応したSMSが送られてくる可能性もあります。実際、総務省や携帯各社が注意喚起をしているため、不審なSMSが届いた際には詐欺の可能性を疑うことが大切です。
・マルウェアのインストール
SMSでアクセス可能なURLを通して、マルウェアのインストールを促すケースもあります。マルウェアとは、悪意のある動作をするよう設計されたソフトウェアのことで、コンピュータウィルスやランサムウェアなどが当てはまります。特にAndroidのスマートフォンにおいて、アプリケーションのインストールを誘導する行為が多く見受けられており、万が一インストールをしてしまえば、端末が乗っ取られたり、スマホ内の情報を盗み取られたりする危険性があります。ユーザーの意図に反して不正な動作が行われ、個人情報や機密情報の漏洩、金銭的な被害など、深刻なリスクが伴うので注意が必要です。
・通信異常
偽基地局は強い電波を発しているため、4Gや5Gの通信を妨害する恐れもあります。インターネットが一時的に利用できなくなる可能性があり、電子決済の失敗や電子チケットの確認ができない恐れ、メッセージアプリの不通、IoT機器の通信不良など、様々な異常が考えられます。
・2G通信への切り替え
無線端末同士が直接通信を行う技術を2D通信と言います。インフラに依存せずに端末同士で自律的にネットワークを形成して通信を行う仕組みです。偽基地局による被害を受けると、強制的に古い2D通信へと切り替えることができるため、セキュリティが脆弱な状態で通信が行われることになります。その結果、情報が盗まれるリスクが高まります。
・通信解読・位置情報の取得
偽基地局に接続されたスマートフォンの通信は、偽基地局に送られてしまいます。そのため、SMSで送ろうとしたメッセージは偽基地局に読まれてしまう恐れがあります。通話内容やメッセージの傍受、位置情報追跡といった被害に発展する可能性もあり、プライバシーの安全が脅かされる事象です。
・端末やアプリの異常
偽基地局に接続したスマートフォンは、端末が不正な通信を行うため、普段とは異なる動作をする可能性があります。バッテリーの消費が激しい、アプリが頻繁にクラッシュするといった症状が表れたら偽基地局詐欺を疑いましょう。
最後に、偽基地局詐欺の被害に遭わないための対策方法をご紹介していきます。
・怪しいSMSのリンクを開かない
知らない番号からのメッセージや外国語で書いてあるSMS、不自然な日本語の文章が記載されたSMSなど、怪しいSMSが届いた際には絶対にリンクを開かないことが重要です。すぐに削除し、アクセスする場合には公式アプリやブックマークからアクセスするようにしてください。
・2G通信をオフ設定にする
スマートフォンの機種によっては、2G通信をオフにする設定ができるものもあります。積極的に活用し、拒否する設定がない場合には2G表示になったら瞬時に機内モードへと切り替えるなど、被害に遭わないような対策が必要です。
・定期的に通信状態をチェックする
偽基地局による攻撃が最も懸念されるのが、観光地や繁華街、イベント会場といった人が多く集まっている場所です。こうした場所に行く場合には、常にスマートフォンに注意を向けて、通信状態を随時確認してください。圏外や2Gといった表示が突如表れたり、通信速度が急激に遅くなったりするなどの異常があれば、その場から移動しましょう。
・セキュリティアプリを導入する
偽基地局を検出する機能を持ったセキュリティアプリも存在します。インストールをすれば、リスクをすぐに見つけられるため、被害に遭わないためにも導入を検討してみましょう。
偽基地局による詐欺では、端末やアプリに異常が起きるだけではなく、個人情報を盗まれる危険性もあります。リスクを回避するためには、詐欺に注意を向けて生活する必要があります。「自分には関係ない」と考えるのではなく、ちょっとした変化にも敏感になることで被害の防止に役立ちます。