防犯のすゝめ

車両内での犯罪をどう防ぐ?鉄道会社の防止策や個人でもできる対策法

列車内での犯罪が増えたことを受け、車内に防犯カメラを設置する動きが高まっています。もしも犯罪に巻き込まれた場合はどのように対処すべきなのでしょうか。

今回は、鉄道会社が行っている犯罪防止対策と個人でもできる予防法について紹介します。

阪神電車がAI搭載防犯カメラの設置試験を実施

2022年5月から8月にかけて、阪神電車で防犯カメラを設置した車両の試運転を実施することが発表されました。車内に複数台設置されたAI搭載防犯カメラを使って映像や音声を録音し、運転指令室からリアルタイムで監視・遠隔操作を行います。

試験実施に至った経緯は、2021年10月の京王電鉄線の乗客切り付け事件や、同年11月の九州新幹線の車内放火未遂事件など、列車内での凶悪な事件が増加したため。走行中の電車で事件が起きた場合、どのように防ぐかが大きな課題となっています。また、防犯カメラにはAI機能が搭載されているため、混雑状況などを解析し、乗客の利便性を高めるサービスにも活用していく予定です。

近畿日本鉄道は2024年秋までに新型車両すべてに防犯カメラを設置、JR西日本は2023年度末を目途に新快速と関空・紀州路快速に設置することを目標に掲げています。

各鉄道会社の犯罪防止対策

JRや各私鉄会社では最新技術を駆使した防犯対策が実施されています。

JR東日本では顔認証システムの導入に力を入れています。顔認証システムとは、顔の特徴をデータベース化し、カメラに記録された顔と自動的に照合する技術のこと。顔認証によって不審者や不審物の迅速な検知に効果が期待されます。一方、プライバシーの問題も懸念されており、防犯システムと個人情報保護のバランスを取ることが求められています。

東急電鉄では、LED蛍光灯一体型の防犯カメラ「IoTube(アイ・オー・チューブ)」で車両内のセキュリティ向上を目指しています。2020年7月には、東急こどもの国線を除く全車両に防犯カメラの設置が完了。「IoTube」は通信機能が搭載されているため、リアルタイムで遠隔操作でき、犯罪発生時の迅速な対応が可能となります。4Gデータ通信機能を備えた防犯カメラの導入は、鉄道会社で初の取り組みです。

列車内での事件から身を守る方法

万が一、列車内で身の危険を感じた場合、すぐに「非常通報装置やSOSボタンを押す」ことが重要です。これらのボタンを押すと車掌や運転士につながり、異常事態を伝えることができます。また、大きなブザーが鳴りランプが光ることで、犯人を驚かせたり、周囲に緊急事態を知らせることにも効果的です。ボタンを押したあとは、できるだけ犯人から遠い場所へ逃げるようにしましょう。

放火などの火災が起きてしまった場合は、できるだけ遠い車両へ移動するようにしてください。日本の鉄道は難燃性の構造となっているため、他の車両へ延焼しにくいと考えられています。可能であれば、消火器を使って消火活動を行います。鉄道会社により異なりますが、消火器は車両の連結部付近や優先席付近に設置されています。

緊急停車したときには、必ず車掌や運転士の指示を待ってから行動してください。自分勝手に行動してしまうと、被害が拡大する可能性があります。

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