防犯のすゝめ

身近なパンで高齢者の詐欺防止を!高齢者が詐欺に遭いやすい心理的特徴を解説

全国各地で高齢者の詐欺被害対策が進んでいます。65歳以上の高齢者は、とくに特殊詐欺のターゲットになりやすく、身近にいる場合は注意が必要です。

今回は高齢者が詐欺被害に遭いやすい理由や心理的な特徴について説明していきます。

警察とのコラボパンで詐欺を防ぐ取り組み

2022年4月、千葉県では詐欺被害を防ぐための新たな取り組みを開始しました。千葉県警と大手食品会社が手掛けた「詐欺防止パン」です。

身近なパンを使って詐欺への警戒心を高めてもらうという狙い。高齢者でも目につきやすいよう、菓子パンの包装面には特殊詐欺への警戒を呼びかけるメッセージが大きく記載されています。千葉県在住の60代女性は「何度も目にすることで、詐欺の恐ろしさを思い出す。ついつい忘れてしまいがちなので、良い取り組みだと思う。」とコメントしています。

また、詐欺防止パンを販売するコンビニ側の意識が高まる効果も期待できます。店員によると「ATMを利用するお年寄りの方へ注意を向けるようになった」とのこと。身近なものを利用して詐欺を注意喚起する取り組みは、今後全国にも広まっていくことが予想されます。[A1] 

高齢者の過信が詐欺被害につながる

警視庁の調べによると、過去10年間で継続的に増加している振り込め詐欺は、約80%の被害者が65歳以上の高齢者となっています。高齢者は金融資産の保有額が大きく、ターゲットとして狙いやすいのです。

また、高齢者が被害者となる原因には「過信」が大きく関係しています。2016年に行った世論調査によると、「自分は詐欺に遭わない」と回答した人の割合は、高齢になるほど高くなる傾向に。回答者の約50%が「だまされない自信がある」と答えており、特に男性は自信を持っていることがわかりました。

さらに2012年に行った警視庁の調査においても、詐欺被害者の約92%が、「自分は大丈夫だと思った」「詐欺を意識したことがなかった」と回答しています。

自分の能力や、性格に対する過剰な楽観を自信過剰と呼び、詐欺被害との関係性が高い行動心理として捉えられています。

自信過剰に関する心理的特徴とは?

日経リサーチが行った金融意識調査では、高齢者が自分の金融行動や判断にどれくらい自信を持っているのかが明らかとなりました。

「金融商品の購入タイミングについて判断できる方だ」という質問に対し、1287人の回答者のうち、約15%が「はい」「どちらかといえばはい」と前向きに回答しています。特に、男性の方が自信を持っており、女性の約7倍の割合でした。さらに、自信を持った回答は年齢ごとに増加し、75歳以上になると一気に高まります。

また、金融リテラシーを測定する4つの調査では、不正解になった人のうち、自分の投資判断について自信があると回答した人は、「わからない」を選ばず、誤った選択肢を選んで不正解となっていました。つまり、自分は正しいと判断する自信過剰は、疑いの余地を排除し、誤った方向に進んでしまう危険性があります。誤った選択肢を選んで不正解になる人の割合は、高齢者ほど多いという結果になり、詐欺被害への遭いやすさを示しています。

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