防犯のすゝめ

ATMで携帯電話が使用禁止になる?大阪府が全国初の条例改正に向けて検討へ

特殊詐欺による被害が後を絶ちません。近年は、高齢者を狙った詐欺が急増しています。中でも多いのが、携帯電話を使って高齢者に指示をして、ATMから送金させるというケースです。特殊詐欺を防ぐために、無人ATMのすべてに警備員を配置するのは難しいのが現状です。そこで、大阪府ではATMでの携帯電話の使用を禁止する条例改正が検討されています。

今回は、大阪府の特殊詐欺防止を目的とする条例や多発する特殊詐欺について紹介します。


大阪府が「ATMでの携帯電話の使用禁止」に向けて検討へ

大阪府は、特殊詐欺による被害が急増しており、2023年度の被害件数は過去最多の2,656件、被害額は36億6,100万円に上っています。特殊詐欺の被害者は、65歳以上の高齢者が多く、携帯電話を利用してATMからお金を振り込ませる詐欺が横行しています。

携帯電話を使った特殊詐欺では、犯人が被害者に親族や公共機関の役人と偽って被害者を信じ込ませてから犯行に及ぶことが大半です。「医療費が戻ります」「税金が還付されます」などと説明し、携帯電話越しにATMを操作させてお金を振り込ませます。

こうした特殊詐欺から高齢者を守るために、大阪府では、「ATMでの携帯電話の使用禁止」や「プリペイドカード販売時の目的確認」などを盛り込んだ条例改正を検討する動きに入りました。この条例は、事業者への義務も明記する予定で、全国初の取り組みとして注目されています。


2023年だけで特殊詐欺の合計被害額は400億円以上に

特殊詐欺とは、犯人が電話や手紙などを使い、親族や公共機関の役員などを装い被害者から金品を騙し取る行為を指します。特殊詐欺の主な手口は以下のとおりです。

・オレオレ詐欺

・預貯金詐欺

・還付金詐欺

・架空料金請求詐欺

・融資保証金詐欺

・ギャンブル詐欺

・キャッシュカード詐欺

・金融商品詐欺

・交際あっせん詐欺

特殊詐欺の手口は年々巧妙化され、特殊詐欺だとは思わずに振り込んでしまうケースも多いです。2023年だけでも、特殊詐欺による合計被害額は400億円以上に達しています。被害件数上位にあたる厳重注意地域は都心部が占めており、上位から順に、東京、大阪、神奈川、愛知、埼玉となっています。しかし、特殊詐欺は都心部に限った話ではないので、誰にでも起こり得る犯罪だと認識しておきましょう。


ATMを操作させる「還付金詐欺」に注意

近年、特殊詐欺の中でも、高齢者を対象に還付金詐欺が急増しています。還付金詐欺の手口としては、まず「税金や保険料などを払い戻しがあります」「一部未払いの年金があります」「医療費の過払い分の返金があります」などお金を受け取れるといった内容の電話がかかってきます。被害者は、税金・還付金に必要な手続きを説明され、お金が戻ってくると信じ、電話からの指示に従ってしまうのです。

被害者が犯人の指示どおりにATMの操作を行うと返金の手続きではなく、犯人の口座へお金が振り込まれてしまいます。被害者に疑いの気持ちを持たれる前に、払い戻し期限が迫っているなど被害者を焦らせ、近くのATMへ誘導します。

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